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一澤帆布『帆布茶団布茶物語』案 |
一澤帆布に至る道 (2)
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旅の日程が悪かった。次はフィレンツェである。
ココこそ革製品の本場である。ガイドブックには「ココで革製品を買って帰らないのは馬鹿です」と書いてある。
次の日朝早くから起きだして汽車に乗った。頭の中はカバンの妄想で膨れ上がり、一人でニタニタしていたら、前に座っていた髭だらけのおっちゃんがおまえは中国人ならブルース・リーを知ってるだろうと話しかけてきた。
オレは日本人だが、もちろん知っている。実はオレはヌンチャクのマスターなのだ、と大学時代にコンパの余興でやっていたのを、まるでストリートファイトでやったように誇張して話していたら、俄然相手の態度が改まった。幼いやつだなあと思って歳を聞いたら中学生であった。
外国人は年齢不詳である。自分でもルーブル美術館のチケット売り場でやけに釣りが多いなあと思ったら中学生料金だったのでお互い様のようである。
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乗り換え駅で、向かいのホームから手を振っていたら、急に件の彼が桟橋を越えて走って来て違うホームに連れて行ってくれた。どうやた間違ったホームにいたらしい。そんな事があってイタリアっていいなあと思うようになった。
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